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ブラック企業の見分け方を知ることは、あなたのキャリアと健康を守る上で非常に重要です。
この記事では、ブラック企業の定義や特徴、求人情報、企業研究、面接といった段階ごとのブラック企業の見分け方を解説します。
また、万が一ブラック企業に入社してしまった場合の対処法も紹介しています。
- 転職や就職で、ブラック企業を避けたいと考えている人
- 今後のためにブラック企業の見分け方を知っておきたい人
- 在職している会社がブラック企業ではないかと不安な人
- ブラック企業に入社してしまい、今後の対策を練っている人
ジャンプできる目次
ブラック企業の定義と特徴
まずは、ブラック企業の定義と、主な特徴を解説します。
ブラック企業に対して、「労働条件や環境が悪い企業」「サービス残業が常態化している企業」などのイメージを持っている人が多いですが、実はブラック企業には明確な定義がありません。
厚生労働省ではブラック企業という言葉は用いず「若者の使い捨てが疑われる企業等」と表現していて、同省ではそれらの企業について3つの特徴を挙げています。
以下、これら若者の使い捨てが疑われる企業等の3つの特徴を、ブラック企業の特徴として具体的に解説します。
- 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
- 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い
- 労働者に対し過度の選別を行う
〔出典〕厚生労働省:労働条件に関する総合情報サイト,「ブラック企業」ってどんな会社なの?.2023年11月17日閲読.
労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
これは従業員の健康を脅かし、ワークライフバランスを崩す原因となります。
例えば、残業が常態化している企業や、休日出勤が当たり前のような企業はブラック企業に該当するでしょう。
なお、長時間労働が求められる背景には、人手不足や効率の悪い業務プロセスがあります。
従業員に対する過剰な負担は、燃え尽き症候群(バーンアウト)のリスクを高め、精神的・身体的健康を損なう恐れがあります。
賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い
賃金不払い残業は、労働基準法違反に該当し、従業員の権利を侵害する重大な問題です。
また、パワーハラスメントは、職場の人間関係を悪化させ、従業員の仕事へのモチベーションを下げる要因となります。
これらの問題は、企業文化や組織の体質に根ざしており、改善するためには組織全体の大規模な意識改革が必要です。
労働者に対し過度の選別を行う
新入社員や中途採用者に対して過度な試用期間を設ける、または不合理な評価基準を用いることで、不当に解雇や配置転換を行う企業が該当します。
このような選別は、従業員の安定したキャリア形成を妨げ、職場での不安定感を増大させます。
また、社内での過度な競争を促進し、職場の雰囲気を悪化させる原因にもなります。
次の章からは、ブラック企業の見分け方を紹介します。
転職のステップに従い、求人情報編、企業研究編、面接編の順番で進めます。
ブラック企業の見分け方【求人情報編】
求人情報を分析することで、ブラック企業を事前に見分けることができます。
- 求人情報が頻繁に掲載される
- 同業他社に比較して給与が異常に高い・低い
- みなし残業時間が40時間以上
- 具体的な福利厚生が明記されていない
求人情報が頻繁に掲載される
離職率の高い企業は、従業員が継続して働く環境が整っていないことを示唆しています。
特に、同じ職種の募集が繰り返し行われる場合は、その職場の労働条件や人間関係に問題がある可能性が高いです。
企業が頻繁に求人を出す理由は様々ですが、常に新しい人材を求める背景には、労働環境の問題や組織運営の問題が隠れていることがあるため注意してください。
同業他社に比較して給与が異常に高い・低い
異常に高い給与を提示する企業は、過酷な労働条件を補うためのものである可能性があります。
逆に、業界平均よりも低い給与は、労働者の働きを適切に評価していない証拠とも言えます。
給与の設定は、その企業の経営状態や労働政策を反映しています。
極端な給与設定は、他の労働条件にも問題がある可能性を示唆しています。
みなし残業時間が40時間以上
特にみなし残業時間が40時間以上設定されている場合、実際の労働時間も長くなる証拠です。
少なくとも、月間40時間前後の残業が発生する裏返しと捉えておきましょう。
みなし残業時間の設定は、企業が労働者の働き方をどのように捉えているかを示す指標のひとつです。
長時間労働は従業員の健康やプライベートの時間を侵害するものですから、これを当たり前としているような企業は警戒した方がよいでしょう。
あれってどうなんですか?
もちろん、実際に毎月80時間の残業が起きるようであれば、労働者の健康を損なう危険があるものと言え、公序良俗に違反するものとして固定残業の取り決め自体無効だという判例も存在します(イクヌーザ事件:東京高裁平成30年10月4日)。
ただし、これはあくまで実態としても毎月80時間を超える残業が課されていたケースであって、みなし残業時間が多大であっても実際の残業時間が一般的な良識の程度を逸脱しなければ問題にはならないのです。
むしろ、労働者にとってはプラスになる側面さえあります。
たとえば、㈱サイバーエージェントでは新卒採用にみなし残業80時間が設定されている求人がありますが、平均の残業時間は月31時間とされています(㈱サイバーエージェント:新卒採用募集概要,2023年11月26日閲読.)。
つまるところ、平均して実際の残業時間の倍以上に相当する分が、毎月支給されているわけですね!
なんでみなし残業を30時間とか40時間に設定しないんでしょうか?
基本給を上げてしまうと、基本給は残業代やボーナスの計算に使われるもとの数字になってしまうので、賃金が急激に跳ね上がってしまうんです。
一方で、基本給をそこそこにしつつ手当である固定残業代を多くすれば、月の給与としては高くなる一方、ボーナスや残業代は抑えることができます。
実際サイバーエージェントでは、新卒でも月給42万円(年俸504万円)と破格の待遇で、基本給自体も比較的高い部類ですし、かなりの好待遇企業だと言えるでしょう。
このように、みなし残業でブラックかどうかを見極めるにあたっては、実際の平均残業時間も見ることが非常に大切だということを忘れないでください!
具体的な福利厚生が明記されていない
福利厚生は従業員の仕事と生活のバランスを保つ重要な要素です。
明確に記載されていない場合、従業員の福祉に対する企業の姿勢が不透明であることを示しています。
福利厚生の不明瞭さは、企業が従業員の働きやすさや生活の質を軽視している可能性があります。
何も記載が充実している必要はありませんが、年間休日数、有給休暇数、育休・産休数、社会保険制度完備など、最低限の記載すらない場合には一考が必要かもしれません。
ブラック企業の見分け方【企業研究編】
企業の公式情報だけでなく、外部からの評価や情報も活用して、ブラック企業を見分ける方法を紹介します。
- 口コミ評価が低い
- 労働基準監督署から是正勧告や送検されたことがある
- 離職率が高く、勤続年数が短い
口コミ評価が低い
特に、現従業員や元従業員からのネガティブな口コミが多い場合、その企業の労働環境や企業文化に問題がある可能性が高いです。
口コミ情報は、企業が公式に発表している情報からは得られないリアルな職場の雰囲気や問題点を反映しているからです。
但し、口コミは個人の主観に基づくものも多いため、ひとつの意見を鵜呑みにせず、複数の情報源を参考にして総合的な判断を行うことが重要です。
労働基準監督署から是正勧告や送検されたことがある
労働基準監督署は、管轄内の事業所(企業)が労働基準法などの労働関係法令を守っているかを監督する機関です。
そして、法律に違反している企業には是正勧告をし、是正勧告を受けても対処しない企業については検察庁に送検する権利を持っています。
加えて、悪質な違反をした企業や、送検した企業については、企業名が公開されることになっているため、「会社名 送検」などで検索すれば、過去の違反有無を確認することができます。
特に、労働時間や賃金未払いに関する違反があった場合には、従業員の労働条件や権利が軽視されていることが考えられるため注意しましょう。
離職率が高く、勤続年数が短い
高い離職率は、職場の人間関係や労働条件、企業文化が従業員にとって負担となっていることを示している場合が多いです。
また、勤続年数が短いことは、従業員が職場に満足していない、またはキャリアアップが困難であることを意味する可能性があります。
安定した職場を求める場合は、これらの指標を参考にすることが有効です。
なお、離職率や勤続年数については、東洋経済新報社が発行する「就職四季報」でチェックすることができます。
ブラック企業の見分け方【面接編】
面接時の様々な兆候から、ブラック企業を見分ける方法を紹介します。
- 会場(会社)が汚い
- 案内をする社員が暗い・感じが悪い
- 面接官が横柄・高圧的・馴れ馴れしい
会場(会社)が汚い
会社の清潔さや整頓された状態は、経営陣の従業員に対する考え方や職場の雰囲気を示しています。
言い換えると、不適切な職場環境は、働く従業員のモチベーションや生産性が低いことを表していることが多いです。
職場の環境は、企業文化や従業員の士気を評価するのに重要な要素です。
案内をする社員が暗い・感じが悪い
社員に活気がない、あるいは不満を抱えているような態度を示している場合、それは労働条件や職場の人間関係に問題があることの兆候です。
面接の際は、面接担当者だけではなく、その他社員の態度や雰囲気にも注意を払いうことで、職場の実態を推測することができます。
社員の態度は、職場環境や上司との関係を反映するものです。
面接官が横柄・高圧的・馴れ馴れしい
尊敬と敬意を欠いた態度は、企業が従業員に対して取っている態度の表れである可能性があります。
面接の過程での面接官の態度や対応を注意深く観察することで、文化を見極めることができるでしょう。
面接官の態度は、その企業の経営陣や人事部の姿勢を反映しています。
ブラック企業に入社してしまったときの対処法
万が一、ブラック企業に入社してしまった場合の対処法を提案します。
- 会社に対して問題点の改善を求める
- 会社の労働組合に相談する
- 事業所を管轄する労働基準監督署に相談・申告する
会社に対して問題点の改善を求める
例えば、労働時間の短縮や福利厚生の改善を提案することで、職場環境の改善に繋がる可能性があります。
但し、改善提案が受け入れられるかは企業の姿勢や状況によります。
また、あなたが新入社員であるなら、会社に対して問題点を指摘することは簡単ではないかもしれません。
そういった場合には、無理をせず、他の方法を模索した方がよいでしょう。
会社の労働組合に相談する
労働組合は従業員の権利と福利を守るために存在し、会社とは切り離された組織です。
労働環境に問題がある場合には、あなたのプライバシーを守った上で、助言や支援を提供してくれます。
あなたが直面している問題を組合に伝えることで、企業の労働環境改善に一役買ってくれるでしょう。
事業所を管轄する労働基準監督署に相談・申告する
前出のとおり、労働基準監督署は、管轄内の事業所(企業)が労働基準法などの労働関係法令を守っているかを監督する機関です。
違法行為をしている企業に是正勧告をし、是正勧告をしても対処しない企業について企業名公表し制裁します。
万が一、企業名が公表されれば、企業としても信用問題に発展するため、労働基準監督署が持つ力は非常に大きいと言えます。
但し、違反の申告をするためには、証拠収集など相応の準備が必要であるため、まずは、厚生労働省の「労働条件相談ほっとライン」など、公的機関の相談窓口を利用するとよいでしょう。
ブラック企業の見分け方についてよくある質問
ブラック企業の見分け方に関して、よくある質問とその回答を紹介します。
ブラック企業を見分ける最も効果的な方法は何ですか?
ブラック企業を見分けるためには、まず求人情報の分析が重要です。
求人における労働条件、給与、勤務時間、福利厚生などの記載を注意深く確認し、不明瞭または非現実的な内容がないかをチェックします。
特に、業界平均と比較して過度に高い給与、不透明な労働条件、頻繁な求人掲載は警戒すべきサインです。
さらに、企業研究を徹底することも重要です。
企業のウェブサイト、SNS、口コミサイトなどを利用して、口コミや評判をチェックします。
特に、現在の従業員や退職者からのレビューは、実際の職場環境を把握するのに役立ちます。
口コミ情報だけでブラック企業かどうかを判断してもよいですか?
口コミ情報は重要な情報源ですが、それだけでブラック企業かどうかを判断するのは危険です。
口コミは個人の主観に基づくものであり、必ずしも客観的な事実を反映しているとは限りません。
そのため、口コミ情報を他の情報と組み合わせて総合的に評価することが重要です。
ブラック企業に勤めてしまった場合の対処法はありますか?
ブラック企業に勤めてしまった場合、まず社内での問題提起や改善要求を試みるべきです。
労働条件や職場環境について、適切な方法で管理職や人事部門に意見を伝え、改善を求めることが重要です。
しかし、このアプローチが効果を示さない場合は、外部の機関に相談することを検討すべきです。
例えば、労働組合や労働基準監督署に相談することで、専門的な助言やサポートを受けることができます。
最終的には、自身の健康やキャリアを守るために、現状に留まるべきか、あるいは新たな職場を探すべきかを判断することが求められるでしょう。
転職活動を行う際には、ブラック企業に入社してしまった経験を振り返り、より良い労働環境を持つ企業を慎重に選ぶことが重要です。
この記事のまとめ
ブラック企業を見分けるためには、求人情報の分析、企業研究、面接時の観察が重要です。
求人情報においては、給与水準、勤務条件、福利厚生の明記に注目しましょう。
企業研究では、口コミ評価、過去の労働問題の有無、離職リスや勤続年数のデータを注意深くチェックしましょう。
面接時には、会場の状態や面接官の態度、垣間見える社員の様子からも、企業の実態を見極めることができるでしょう。
万が一、ブラック企業に入社してしまった場合は、まずは会社に改善を求めましょう。
しかし、効果がない、あるいは改善の提言がはばかられる場合には、労働基準監督署を活用することをおすすめします。
この記事を参考にして、ブラック企業を見分け、あなたにとって最適な職場選びを行ってください。