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就職活動や転職活動の選考を突破した、新しい職場でのスタートは希望に満ちているものです。
しかし、ときには期待とは異なる状況に直面することもあります。
なかにはまだ試用期間中だけれども退職したいという人もいるでしょう。
この記事では、試用期間の基礎知識、試用期間中に退職するメリット・デメリット、そして、退職手順を解説します。
特に「試用期間中に退職することはできる?」と悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。
- 試用期間とは何か?を理解したい人
- 試用期間中だが、すぐにでも退職したい人
- 試用期間中に退職してもよいものか悩んでいる人
- 試用期間中の退職手順を知りたい人
ジャンプできる目次
試用期間の基礎知識
試用期間は、多くの企業で新しい従業員の適性を評価するために設けられています。
この期間は、新入社員にとっても、企業の文化や職務内容を理解し、自分に合っているかを判断する重要な時期です。
ここでは、試用期間について知っておくべき基本的な知識を解説します。
- 試用期間とは企業と新入社員が相互に適性を判断する期間
- 試用期間中は給与が低いことがある
- 試用期間14日以内なら会社には解雇する権利がある
試用期間とは?

一般的には数カ月間が設定されることが多く、この間に新入社員は通常の業務に従事しながら、企業の期待に応える能力を示すことになります。
しかしこの反対に、新入社員もこの期間を利用して、企業の文化や職務に自分が適応できるかを判断することができます。
試用期間の長さや労働条件は、企業や契約によって異なりますが、試用期間中であっても、法律上の権利や義務は正社員と同様に適用されることが一般的です。
試用期間中は給与が低いことがある

企業としても、従業員の能力を完全に確認できていない状況で給与を設定することにはリスクがあります。
そのため、その企業における一般的な社員より給与が低く設定されていることは珍しくありません。
たただし、労働基準法によって保証されている最低賃金を下回ることは認められていません。
また、試用期間中であっても、社会保険や雇用保険への加入は必須です。
給与が低い場合でも、これらの保険への加入により、新入社員の安全と保護が担保されているわけです。
試用期間14日以内なら会社には解雇する権利がある

試用期間中の雇用契約は、「解約権留保付労働契約」と解釈されています。
これは、企業が従業員を解雇する権利を有していることを表しています。
具体的には、採用後14日以内であれば、企業は比較的容易に解雇権を行使することができます。
もっとも、学歴や職歴の詐称や、度重なる遅刻や無断欠勤など、社会通念上適当と認められる理由があることが前提です。
言い換えると、「能力が不足しているから」「社風に馴染まないから」といった理由で解雇することはできません。
試用期間中でも退職できる?
入社後に期待と異なる状況に直面した場合、試用期間中であっても退職することはできるのでしょうか。
ここでは、「無期雇用契約」と「有期雇用契約」の場合に分けて、その可否を解説します。

無期雇用契約の場合

無期雇用契約とは、正社員に適用される契約を指します。
民法627条1項によれば、労働者からの申し入れから2週間が経過することで、使用者の承諾がなくとも退職することができるとされています。
ただし、企業ごとに作成されている就業規則に、たとえば「1カ月前に退職を申し出なければならない」と定められていれば、なるべくならばそれに沿ったかたちで退職手続きをするのが良いでしょう。
民法と就業規則のどちらが優先されるかは意見が分かれており、厚生労働省のWebサイトでは「2週間を超える解約予告期間の設定、退職許可制いずれも退職の自由を制限するので無効となります」(厚生労働省:確かめよう労働条件|裁判例|7-1「辞職」に関する具体的な裁判例の骨子と基本的な方向性,2023年12月1日閲読.)と記載されているものの、あくまで「基本的な方向性」とするに留められています。
差し迫った状況での退職出ない限りは、基本的には就業規則に準拠したほうが無難であると言えるでしょう。
そのため、退職を検討している場合には、まず就業規則を確認することが重要です。
有期雇用契約の場合

基本的には、期間いっぱいまでその契約に拘束されることになります。
有期雇用契約とは、契約社員などに適用される、期間の定めがある契約を指します。
契約期間を定めた上での雇用であるため、その期間が満了するまでは雇用契約が継続することが前提となっています。
例外的にやむを得ない理由があれば直ちに退職(契約の解除)を求めることができるとされているものの、それが解除を申し出る側の過失によって生じた理由である場合、相手方に対して損害賠償の責任を負うと法に定められています(民法第628条)。
つまり、労働者側の過失による事情で契約の途中解除を願い出る場合、それが会社に損害を与えることがあれば賠償をしなければならないのです。
契約に特別な解約条項がある場合や、相互の合意による場合はこの限りではありませんが、有期雇用契約で退職を考える場合は、雇用主との個別相談が必要になると考えておきましょう。
試用期間中に退職するメリット・デメリット
ここでは、試用期間中に退職するメリットとデメリットを紹介します。
試用期間中に退職するメリット
試用期間中に退職するメリットは次のとおりです。
- 社会保険・雇用保険加入前なら退職歴が残らない
- 悩みから解放され心と体の健康を保てる
- 新卒なら第二新卒扱いで転職活動ができる
社会保険・雇用保険加入前なら退職歴が残らない
社会保険や雇用保険への加入手続きが完了する前に退職すると、年金事務所などにも退職歴(在職歴)が記録されない可能性が高いです。
つまり、履歴書に記載しなければバレない可能性が高いため、転職活動において次の職場への悪影響を抑えることができるます。

フルタイムなどそもそもが保険加入対象となるような本採用が前提の試用期間だった場合、加入義務は原則として入社初日だからです。
悩みから解放され心と体の健康を保てる
職場環境や仕事内容が自分に合わないと感じた場合、早めの退職は精神的、身体的な健康を守る選択となり得ます。
ストレスや不安から解放されることで、より適した職場を探すためのエネルギーを保持できます。
新卒なら第二新卒扱いで転職活動ができる
新卒者が試用期間中に速やかに退職する場合、第二新卒としてのステータスを活かして転職に再挑戦することが可能です。
多くの企業は第二新卒者を積極的に採用しており、新たなチャンスが広がります。

あくまで、「どうしても試用期間中に退職したい場合の、安心材料」として紹介しています。
試用期間中に退職するデメリット
試用期間中に退職するデメリットは次のとおりです。
- 次の転職活動に悪影響が出る
- 可能性があるスキルや知識を得るチャンスを逃す可能性がある
- 辞め癖がつく可能性がある
次の転職活動に悪影響が出る可能性がある
試用期間中に退職した企業であっても履歴書に記載する必要があります(前述の社会保険・雇用保険加入前に退職した企業を除く)。
短期間での離職は、採用担当者に悪い印象を与える可能性があり、次の職を見つけることが難しくなることもあります。
スキルや知識を得るチャンスを逃す可能性がある
試用期間中に退職すると、新しいスキルや知識を学べるせっかくの機会を逃してしまう可能性があります。
特に、新しい職種や業界に挑戦した場合であれば、将来のキャリアに悪影響を与えることも考えられます。
辞め癖がつく可能性がある
一度の早期退職が、将来的に簡単に職を変える習慣を作り出す可能性があります。
これにより、長期的なキャリアビジョンを持つことが難しくなり、安定した職業生活を送ることが困難になることもあります。
試用期間中の退職は、キャリアプランに様々な影響をもたらします。
最終的な決断を下す前にメリットとデメリットを慎重に考慮し、将来のキャリアにどのように影響を与えるかを考えることが重要です。
また、可能であれば、『きづく。転職相談』などのキャリアコーチングを活用することも有効です。
自分にとって最適な道を選択するために、客観的な視点からの意見を聞くことも重要だからです。
試用期間中の退職は、短期的な解決策としては魅力的に思えるかもしれませんが、長期的なキャリアの展望を考慮に入れることが大切です。
試用期間中に退職する手順
試用期間中に退職をする場合、適切な手順を踏むことが重要です。
ここでは、一般的な退職手順を紹介します。

退職を決める前に、キャリアの目標、現在の職場での課題、そして将来の可能性を十分に考えることが大切です。
この際、感情的にならずに、冷静かつ礼儀正しく伝えることが重要です。
文書は簡潔に、退職の日付と理由を明記してください。
企業によっては所定のフォーマットがあるため、事前に確認が必要です。
給与の計算、保険の切り替えなどの手続きは企業によって異なるため、詳細を理解しておくことが重要です。
転職活動の準備、休息の期間、または新しいキャリアパスへの準備など、次のステップについて考えておくことが重要です。
試用期間中の退職・解雇についてよくある質問
試用期間中の退職や解雇に関する質問とその回答を紹介します。
これらの情報は、試用期間中に直面するかもしれない状況に備え、全ての会社員が知っておくべき情報です。
試用期間中も社会保険・雇用保険に加入できる?
はい、試用期間中であっても、従業員は社会保険(健康保険・厚生年金保険)および雇用保険に加入することができます。
雇用された日から保険の対象となります。
但し、企業によっては保険加入の処理に時間がかかることがあるため、加入状況については人事部門に確認することをおすすめします。
試用期間中も残業代が支払われる?
試用期間中であっても、法律で定められた残業代は支払われなければなりません。
労働基準法では、残業に対する割増賃金の支払いを義務付けており、これは試用期間中も例外ではありません。
試用期間が延長されることはある?
はい、試用期間が延長されることはあり得ます。
これは通常、従業員の能力や適応性をさらに評価するために行われます。
但し、試用期間の延長は、使用者と労働者の合意の上でなければなりません。
能力不足が原因で試用期間中に解雇するのは違法?
試用期間中の能力不足を理由にした解雇は、一般に認められません。
試用期間中の解雇が有効とされるためには、社会通念上、合理的な理由がなければなりません。
これには、学歴や職歴の詐称や、度重なる遅刻や無断欠勤などが挙げられるでしょう。
この記事のまとめ
この記事では、試用期間の定義、給与や保険の取り扱い、退職に関するメリットとデメリット、退職手続きの流れなどを解説しました。
試用期間中の退職は、個々のキャリアパスに大きく影響します。
このため、退職を検討する際には、自己のキャリア目標と現状を総合的に考慮することが重要です。
なお、試用期間中の退職手続きは、一般的な退職手順と同様ですが、「無期雇用契約」と「有期雇用契約」では異なる点があることにも注意しましょう。
この記事を通じて、あなたが最善の選択を行うお手伝いができたなら幸いです。