こんにちは。梅田翔五です。
今回はタイトルの通り、「ベンチャー企業に転職する時に、よく見過ごされるポイント」について書きたいと思います。
「今後ベンチャー企業に転職しようかなー」なんて考えてる方は、この記事を読むことで今までになかった視点が1つでも加わり、その結果、自分がベストだと思えるベンチャー企業を見つけるのに役立ててもらえれば幸いです。
ベンチャー企業に転職する人達の理由はさまざまだと思いますが、以下のような理由が多い印象です。
- 自由な環境の中で、自分らしく働きたい
- ビジョンに共感できる会社で働きたい
- 組織や事業を自分の力で大きくする経験がしたい
- 大手に勤めるより、もっと早く成功・成長したい
そして、そんなベンチャーに転職していく人達が、企業を選ぶ際に見るポイントで多いのは大体ここらへんです。
- 社風
- 社長の人間性や考え方
- ビジョンへの共感
- 事業の成長性
- 待遇面や制度面
まあ全部大事なことなので、しっかり全部見た方が良いと思います(ベンチャーに待遇求め過ぎるのは、正直微妙ですが)。ただ、ベンチャーを選ぶにはいくつか大事な視点が抜けているなーとも思います。
- 事業・組織フェーズ
- あなたの能力・資質
- must haveか nice to haveか
この記事ではこれら3つの視点について1つずつお話していきます。
元転職エージェント
梅田 翔五
Shogo Umeda
上智大学経済学部経営学科を卒業後、大手内資系製薬会社に入社。
その後、転職エージェントとして多くの人のキャリアに向き合い、求職者の転職活動を支援。
現在は、元転職エージェント管理職の知見を生かし、個人でキャリアや転職における支援を行うキャリア支援家として活動。
情報発信やイベント登壇、記事執筆、個人からのご相談などを行っています。
梅田翔五のプロフィールページ
①事業・組織フェーズ
まず、気を付けて欲しいのが『ベンチャー』という言葉のくくりが大きすぎ問題です。ベンチャーの定義はなかなか曖昧なんですが、Wikiには下記のように書いてあります。
”ベンチャーとは、企業として新規の事業へ取り組むことをいう。 このような事業をベンチャービジネス(英:Venture Business)という。 事業は新規に起業したベンチャー企業によって行われるものを指すことが多いが、既存の企業が新たに事業に取り組む場合も含む。”
つまり、革新性のある事業をやってたらベンチャーということになりそうです。ただ実際には『ベンチャーの新規の事業』というのは、どれくらいビジネスとして進んでいるかが大きく異なります。この点が事業・組織フェーズです。
例えばですが、「メルカリ」という会社をご存知でしょうか?個人間でモノを売買するプラットフォームを運営する、あの超有名ベンチャーです。知らない人はいないでしょう。
メルカリは既にサービスが超有名で、かつ社員数も1000名を超えています。いわゆる「メガベンチャー」ですね。一方で、社員数がまだ5名で、サービスがまだ誰にも知られていない会社も、そのサービスが革新的であれば、ベンチャーということになります。
これら2つのベンチャーは会社や事業の成熟度が全く異なり、それに伴い求める人材や、任される仕事の内容が別物だということは、容易に想像がつくと思います。
これらは極端な例ですが、ベンチャーは事業・組織がどれくらい進んでいるかによって、全ての要素が変わるものです。以下にざっくりですが、事業・組織フェーズをまとめてみました。
- 【1〜10人】
事業としてまだ売上は小さく、ビジネスモデルが確立されていない。ほとんどの社員が複数の役割をまたぎ、何でも屋の状態。ルールもあまり明確にない。 - 【10~30人】
徐々にお客さんが取れるようになってきたステージ。組織としても個々の役割が見えてくる。ただ、まだまだ複数の役割を兼務していかないと追いつかない。 - 【30~50人】
市場で少しポジションを築けるようになってきたステージ。個々の役割も明確になってきて、社内ルールも整備されてくる。 - 【50~100人】
市場で認識されるようになり、売上を拡大するステージ。社内の中でもあまり話したことがない人が増えるフェーズでルール統制をしっかり進めなくてはいけない。 - 【100~500人】
市場でのポジションが確立され、世間からも認知され始める。このフェーズで急拡大するベンチャーも多く、組織として良くも悪くも型を確立する必要がある。 - 【500人以上】
会社としてはできあがってきており、一般的なベンチャーのイメージとは程遠い。チャレンジングな社風という以外は、基本的に一般的な会社であることも多い。
実際は、事業のモデルによって必要な人員数なども変わるので、これに全て当てはまるわけではないですが、参考程度にはなると思います。
(僕も全てのフェーズを体験したわけではないので、本で読んだり、人から聞いたりした情報を含みます。)
②あなたの能力・資質
これはベンチャーに関わらずですが、転職する際に会社選びばかりに気を取られ、自分の能力や資質を棚に上げる方は結構多いです。特にベンチャーは、成果主義を取る企業が多いので、この点要注意。
つまり「自分は活躍できるのか?自分の能力で会社に貢献する覚悟はあるのか?」という視点を必ず持って欲しいです。
ベンチャーは、大手のようにダメな社員でも雇い続け、高待遇を約束してくれるような余裕はありません。会社に貢献できなければ、クビとは言わずともそれなりに厳しい処遇が待っているケースもあります。
そして、ここで肝になるのは①で話した組織・事業フェーズとのマッチング。ちょっと雑な表現になりますが、組織・事業フェーズが小さいほど次の能力・資質が求められます。
- 0→1を発想する力
- レールがない中で行動し続ける機動力
- 多岐に渡る業務をこなせるゼネラリスト的な器用さ
一方、50人以上くらいからの規模は、スペシャリストが活躍する土台が整い始めます。事業も軌道に乗り始めているので、0→1以上に1→10を作れる人が活躍するでしょう。属人的だったり、非効率な業務を仕組み化するような仕事が多くなります。
というように組織・事業フェーズによって、活躍するタイプの人は根本的に違います。別にどのフェーズで活躍できる人が偉いということはありません。あくまでも相性です。
③「must have」or「nice to have」
- must have=どうしても必要なもの
- nice to have=絶対必要というわけではないが、あったら良いもの
これは今回のコロナウイルスの影響を受けて、僕も改めて考えさせられたことです。あなたが興味を持っているベンチャーの事業は今後どちらに当てはまりそうでしょうか。
リーマンショックや東日本大震災、そして今回のコロナウイルスなど、この約15年で3度も日本経済に大きな影響を与える事件がありました。そしてこれからの時代はVUCAと言われており、こういった予測のつかない事態がますます増えると言われています。
VUCA(ブーカ)とは、Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)という4つのキーワードの頭文字から取った言葉。一言でいうと「予測不能な状態」を意味する。
こういった時代に生き残るベンチャーは、must haveになる事業である可能性が高いのではないでしょうか。ただ、僕が言いたいのは「だからmust haveになりえる事業を手掛けるベンチャーを選べ」ということではありません。
nice to have 的な事業を手掛けるベンチャーを選ぶなら、ただでさえリスクの高いベンチャーの中でも、よりリスクの高い選択をするということを自覚して選ぶべきだということです。
話が若干それますが、就職や転職において、最も良くないパターンの1つは「こんなはずじゃなかった・・・」と後悔をすることかと。そしてこの後悔を生み出す大きな理由は、想定してる範囲が狭いからです。
「もしかするとこんなこともあるかも?」と最悪の事態まで想定しておくことが、選択に対してのリスクヘッジとなりますし、覚悟に繋がります。そしてベンチャーに勤める者にとって、最悪の事態の1つは「倒産」です。(まあこれは何の会社も同じですが、確率的にベンチャーは高いので)
「会社が倒産したらどうするのか?」まで考えて、nice to haveのベンチャーを選択できているなら、それは全く問題ないと僕は思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は「ベンチャーに転職する時に見過ごしがちなこと」というテーマで以下3点について書きました!
- 事業・組織フェーズ
- あなたの能力・資質
- must haveか nice to haveか
あと今回の記事は、こちらの本を参考にしている部分が大きいので興味のある方はポチってみてくださいね。
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