こんにちは。梅田翔五です。
前回の記事では、ベンチャー企業へ転職する際、見過ごしがちなポイントについて書きました。
ベンチャーへの転職で見過ごしがちな3つのことそして今回は、ベンチャーとよく比較されがちな『大手』について書いてみたいと思います。この記事を読むことで、就活や転職活動の方針を見直したり、自身のキャリアについて改めて考えるきっかけになれば幸いです。
- 『大手』ってなんやねん
- あなたは、なぜ『大手』が良いのか
元転職エージェント
梅田 翔五
Shogo Umeda
上智大学経済学部経営学科を卒業後、大手内資系製薬会社に入社。
その後、転職エージェントとして多くの人のキャリアに向き合い、求職者の転職活動を支援。
現在は、元転職エージェント管理職の知見を生かし、個人でキャリアや転職における支援を行うキャリア支援家として活動。
情報発信やイベント登壇、記事執筆、個人からのご相談などを行っています。
梅田翔五のプロフィールページ
『大手』ってなんやねん
就活や転職の相談に乗ると、頻繁に聞くフレーズ「とりあえず大手に行きたい」。Twitterなんかでは「大手とベンチャー選ぶならどっち?」という議論をよく見かけます。
ただこの『大手』とは一体、何を基準にしているのか。ここがあまりに不明瞭すぎる。というか皆よく考えずに『大手』というワードを使っているので、ここを最初に考えてみましょう。
まず法律的な視点から。「中小企業」の定義は、中小企業基本法という法律により定められており、この中小の定義より大きい企業は『大企業』と言えそうです。その場合、『大企業』の定義は以下のようになります。
- 資本金の額又は出資の総額が3億円を越え、かつ常時使用する従業員の数が300人を越える会社及び個人であって、製造業、建設業、運輸業その他の業種に属する事業を主たる事業として営むもの
- 資本金の額又は出資の総額が1億円を越え、かつ常時使用する従業員の数が100人を越える会社及び個人であって、卸売業に属する事業を主たる事業として営むもの
- 資本金の額又は出資の総額が5000万円を越え、かつ常時使用する従業員の数が100人を越える会社及び個人であって、サービス業に属する事業を主たる事業として営むもの
- 資本金の額又は出資の総額が5000万円を越え、かつ常時使用する従業員の数が50人を越える会社及び個人であって、小売業に属する事業を主たる事業として営むもの
上記見て、違和感ありませんか?
- 資本金の額又は出資の総額が3億円を越える
- 従業員の数が300人を超える
このように、何となくですが世の中の多くの人が語る『大手』のイメージよりも数字が小さい感じがします。つまり法律的に定義できる『大企業』と、世間一般で使われる『大手』という言葉には、何とも言えない乖離があるということです。
また、世の皆さんは『大手』という言葉を使う時に、「資本金」や「従業員数」を想像しながら話してるのでしょうか?恐らくですが上記2つ以外にも、下記の要素も考慮して、『大手』ってやつを判断してるのではないかと思います。
- ネームバリュー
- 売上高
- 業界シェア
- 上場してるか否か
ということで、まずこの記事で最初にはっきりしておきたいのは、世間一般的に使われている『大手』という言葉には、明確な定義が何もなく、人それぞれの感覚や価値観、思い込みに依存して使われているということです。
だから「とりあえず大手」と言うのは、アホっぽいので今すぐやめましょう。
あなたは、なぜ『大手』が良いのか
ここからは「なぜあなたは大手が良いと考えていたのか」という、あなたの内側にフォーカスしていきましょう。あなたが何となく『大手』が良いと思っていた理由は何ですか?全て書き出してみてください。
これは人それぞれなので、理由も無数にあると思いますが、恐らく下記5点あたりを想起する方が多いんじゃないでしょうか。
- 安定していそう。
- 給料や福利厚生が良さそう。
- 有名な企業に入って他人に自慢したい。
- 大きな仕事ができそう。
- 研修体制が整っていたり、周囲のレベルが高く、成長できそう。
一般的に『大手』と言われる企業で、この5点に当てはまる会社も多くありますので、どの理由も間違ってるとかはありません。ただ、これらの理由を書き出した上で、注意点が2つあります。
注意点① それぞれの理由は別個に考えること
「大手に行きたい」と語る人に多い勘違いが、『大手』なら全てが叶うと思い込んでいること。
具体的に言うと「有名な会社なら売上高や業界シェアが大きくて、その結果、自分自身の雇用も安定していて、給料も良くて、会社の人達も優秀な人が多いだろう」みたいな考え方です。これは、誤った考え方なので今すぐにやめてください。
人間に例えるなら「ツイッターでフォロワー数が多いから、頭良くて仕事できて性格も良くて、たぶん見た目も良いし、お金も持っているのだろう」みたいに考えるのと同じようなものです。そんなわけありません(笑)
特に強調しておきたいのは、「有名度」と、その他の要素の「相関性の低さ」です。有名でも給料が低い会社、業績の悪い会社、社内体制が整っていない会社などはいくらでもあります。
そもそも有名な企業というのは、一般消費者を対象にしたビジネス(toC)であることが多いですが、市場規模で考えると圧倒的に法人向け(toB)のビジネスの方が大きいので、有名度を優先しすぎると選択肢を大きく減らすということも知っておきましょう。
また、従業員数が多い=給料が良いというのも、明らかに間違いです。従業員数が多くても、平均年収は非常に低い会社も多く存在しますし、この点は業界や職種の影響が強いです。
なので、妄信的に「有名企業=安定=給料が良い」というような考えは今すぐ捨ててください。あと成長できる環境かどうかというのも、はっきり言って、会社によるとしか言えません。
採用や教育の体制が素晴らしく、優秀な社員をたくさん輩出している会社もあれば、こんな大きい会社なのにこんなに社員のレベル低いんだ・・・と感じる会社もあります。
ということで「大手=欲しい要素が全て揃う」という思考停止は今すぐやめ、1つ1つの要素を別個に捉え、自分の目と耳で調査をしてください。
例えば、上場してる企業なら、平均年収や直近の売上高や利益、平均勤続年数などは簡単に調べられますし、口コミ系のサイトを見れば、最低限社風なども把握はできる時代です。
あと業界の動向や、今後の展望なんかも一緒に調べておくと良いでしょう。下記のようにググるだけでも参考になる記事はたくさん出ます。
- 「〇〇業界 今後の展望」
- 「〇〇業界 動向’」
注意点② なぜその理由を求めているのかをさらに問う
「なぜあなたは大手が良いと考えたのか」を書き出しましょうと先程言いましたが、これを書き出したら、さらに「なぜその要素を求めているのか」を自分自身に問いかけることが大切です。
例えば下記のような理由が考えられます。
- 給料が良さそう→なぜ給料が多く欲しいのか?
- 成長ができそう→なぜ成長したいのか?
ここをもう一段階踏み込んで考えると
- 頑張るからには、その頑張りに対して人よりも多く給料がもらいたいから
このような回答になった場合、給料が良いだけでなく会社の評価や給与制度として、「年功序列」よりも「成果」を重視してくれる会社の方が自分には合いそうと気がつきます。
ここを踏み込んで考えないと、平均年収という数字のみを見て、年功序列の会社に入り、ミスマッチを起こしかねません。見るべきは、平均年収と同時に、その会社の社風や評価制度だったのです。
- 将来的には、実家の家業を継ごうと考えているため
- ビジネスマンとしてスキルを高めておきたい
ということで、ここで言いたいのは「なぜあなたは大手に行きたいと考えていたのか?」という理由の背景まで踏み込んで考えることで、『大手』なんていうざっくりとした言葉を使うことが、いかに無意味かがよくわかってもらえると思います。
ここまで読んで、ベンチャー企業への転職も視野に入れてみようかなという方は、こちらの記事も参考にしてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。『とりあえず大手に行きたい』なんて曖昧で危ない企業選びをせず、自分自身にあった会社選びをできる方が、1人でも増えたら嬉しいかぎりです。
この記事で何か学びがあった方は、良かったらTwitterなどでシェアしてください。お読みいただき、ありがとうございました!