職種を変えることについての現実的な話

職種を変えること

こんにちは。梅田翔五です。

今日は、転職して『職種を変えること』について書きます。

この記事を書いた人
転職エージェントの梅田翔五

元転職エージェント

梅田 翔五

Shogo Umeda

プロフィール

上智大学経済学部経営学科を卒業後、大手内資系製薬会社に入社。
その後、転職エージェントとして多くの人のキャリアに向き合い、求職者の転職活動を支援。

現在は、元転職エージェント管理職の知見を生かし、個人でキャリアや転職における支援を行うキャリア支援家として活動。
情報発信やイベント登壇、記事執筆、個人からのご相談などを行っています。
梅田翔五のプロフィールページ

なぜこのテーマについて書くのか?

転職エージェントをしていた頃、世の中こんなに職種変えたい人が多いんやなーと驚きました。

もともと何してたかや年齢などにもよりますが、僕が当時お会いしていた転職希望者の4~5割は

「今とは違う職種も検討したい!」

「今の職種じゃなくて、やりたい職種がある!」

とおっしゃってた気がします。(異業種や異職種に転職したいからこそ転職エージェントに頼りにきてた方も多いと思いますが。)

ただ希望職種への転職が上手くいく人、わりかし少ないんですよね。これまた何のエビデンスもない僕の感覚値ですが、成功してた人5割もいなかったような。思ってた以上に転職活動が上手くいかず、希望職種を諦める人を多く見ました。また、あまりに選考が通らないから「転職エージェントのあなたが私を上手く推薦してくれてないのでは!?」と怒り出す方もいたり。(僕は厳しいよと事前に伝えてましたけどね・・・)

まあ何が言いたいかと言うと、職種を変える転職の具体的情報ってネットが発達した割にまだまだ少ないし、情報不足のせいで面食らってる人が多いということです。なので、今日はなるべくわかりやすく書くことを目標とし、異職種を目指す人の役に立つようなものを書きたいなと。

僕は今もう転職エージェントではなく、利害関係のない公平な立場としての発信なので、その点も安心して読んでもらえたら嬉しいです。

ちなみに本記事は、読者が23〜35歳くらいまでと想定して書いています。

異職種への転職活動をする前に知っておくと良いこと
  1. なぜ異職種への転職は難易度が上がるのか
  2. 目指す職種によっても状況は全く異なるのだ
  3. 異職種転職は中長期的なイメージを持っておこうぜ

①なぜ異職種への転職は難易度が上がるのか

そもそも「企業はなぜ中途採用をするか?」「新卒ではなく、なぜ中途を採るのか」を考えたことがありますか。理由は企業によって異なるし複数あるでしょうが、多くの企業に当てはまるものが1つあります。

『なるべく手っ取り早く活躍する人を採りたい』です。要するに、時間や教育コストを節約したいから中途採用なわけです。

では次に、手っ取り早く活躍しそうな人材って、どんな人材なの?と。これも企業によって考え方が異なるとは思いますが、以下のようなイメージを持ってるケースが多いです。

  • 黄色→あなたの経歴
  • 青色→企業の採用要件
  • 緑色→その重なり合う部分(大きいほど採用される可能性は高くなる)

と一般的に言えます。

企業のイメージ

つまり、中途採用の目的としてメジャーな『なるべく手っ取り早く活躍する人材を採りたい』に対して、職種が違うことは採用イメージとして遠いんですね。

なので、まず書類選考でばっさり切られることが多いです。あとポイントは[職種が同じ]は[業種が同じ]よりも重なりが大きくなること。

メーカーの営業→メーカーのマーケティングに転職しようとするよりIT業界のマーケティング→メーカーのマーケティングの方が、一般的に転職しやすいのです。

言われてみたらめちゃくちゃ当たり前のことなんですが、なぜだか自分の転職になると気づけない人も多いのが、この点。

②目指す職種によっても状況は全く異なるのだ

異職種への転職はむずいよと前置きしましたが、目指す職種や会社によっても状況は大きく異なります。まず、異職種に転職したいという人がよく言う例はこんな感じ。

異業種転職の希望職種例
  • マーケティング
  • 人事
  • 広報
  • 事務

ここらへんは本当によく希望が出ます。ただ異職種からの転職がそこそこむずいラインナップです。異職種から転職がしやすい職・しにくい職は一体、何が違うのか?

それは簡単に言うと[需要と供給]です。

例えば、営業というのは未経験からでも転職がしやすい職種の一つ。理由は採用人数が多いから。営業は、企業が売上拡大していく際に最も人数が必要な職種であり、大体どこの会社も人数が1番多くなります。それに対して、営業は最近あまり人気がありません。経験者だけで採ろうとすると、採用計画が間に合わなくなるなんてことも。

その結果『間口を広げて未経験も採ろう!』ということになりますね。当然の流れです。

最近はコロナの影響もあり大量採用する会社も少ないと思いますが、2〜3年前は、大手が新規事業の営業部隊を大量採用!とか言って、50人募集なんてこともありました。

あとは、ITのエンジニアとかも最近は募集が多いので、未経験からでも比較的行きやすくなっています。(めっちゃ勉強は必要ですし、最初の年収がかなり低いなどの事情もありますが)

では、さっき挙げた職種をもう1度見てみましょう。

  • マーケティング
  • 人事
  • 広報
  • 事務

1つの会社でこれらの職種は何人くらいいるイメージでしょうか。企業規模にもよりますが、何百人も採る職種でないのは明白ですね。中小企業なら10人以下であることがほとんど。そのため当然、中途採用枠も1~2名程度になります。

しかもこれらの職種は人気なんです。社内からの異動希望も多いですし、社外からも応募がたくさんあります。つまり倍率が高い。未経験者にチャンスが回ってくる可能性は当然低くなります。

これがまず職種ごとの違いでした。募集人数を想像しましょうという話。また次に目指す会社によっても状況が異なることを理解しておきましょう。これも[需要と供給]の問題で話が片付きます。

要するに、人気で応募数が多い会社ほど未経験は不利です。転職活動始めると、知ってる名前の会社に応募しまくる人がよくいますが、これは最も転職が難航するパターンの1つ。

同じようなことやってる人がめちゃくちゃいるので、当然応募数は膨れ上がっており、未経験者は高確率で弾かれます。こういう転職活動の仕方をすると、30社応募して書類通過0とか普通にあります。

この項で伝えたいことをまとめると需要(採用数)に対して、供給(応募数)が過多になっている職種・会社は完全未経験では、相当厳しいということです。人気職種・人気企業はまず無理と言っても、言い過ぎじゃないかなと。

③異職種転職は中長期的なイメージを持っておこうぜ

さんざん異職種転職は難しいと言ってきましたが、絶望させたいわけではありません。ここからは前向きな話をします。先程示した以下の図と[需要と供給]の話を踏まえて考えてみましょう。

企業のイメージ

要するに、この円と円の重なる部分を徐々に増やしていけば、理想に近づいていくことが可能というわけです。(その時々の職種ニーズや個人の経歴に影響を受けますが、ここはまずはシンプルに考えましょう)

具体的な例を以下に示してみました。

具体例
  • 28歳 男性
  • 日本大学卒 現年収520万円
  • 新卒から今まで不動産営業に従事。
  • 転職してマーケティングがやりたい。
  • でも給料もなるべく多くもらいたい。
パターン1

給料も多くもらいたいし、面白そうだから大手メーカーでマーケティングやりたい。→大手企業のマーケティングは、まず無理。
なぜなら需要(採用数)に対して、供給(応募数)が圧倒的に多いから。円が重なり合う部分もほとんどなく、厳しい。

パターン2

まずは中小企業やベンチャーでマーケティングの経験を積んでみるのは?給料は下がるだろうけど。→大手よりは、やや可能性あり。
なぜなら大手ほど、供給(応募数)が多いということはないから。ただそれでも円の重なりが小さいあなたは、よほどポテンシャルを評価されない限りは厳しいと言える。

パターン3

不動産に関連した中小やベンチャーのマーケティングならどうだろう?業種一緒なら行けるでしょ?→可能性が少し上がる。
不動産という業種が同じおかげで、円の重なりが大きくなるため。ただ職種が違うため、まだ厳しい印象。このパターンで受かる人もいるが、少数派。独学でマーケティングを勉強しておくと多少効果あり。

パターン4

マーケティングの知識や経験を身に付けるため、広告代理店やWEBマーケの会社の営業に転職するのは?一気に可能性が上がる。なぜなら職種が同じで重なりが大きいから。
営業としてマーケティングの一分野に関わり、知識や経験を身に付けることで、再度の転職時にはマーケティングに行ける可能性が高まる。

パターン5

自社内での異動や、副業でマーケティングに挑戦できる機会を探すのは?→これがもし可能なら個人的に1番オススメ。転職をせずに経験が積めるというのは、1番リスクが低いやり方と言えるので。ただ、この機会を獲得することも難易度は高いので、あくまでできれば良いなという感じ。

つまり何が言いたいかと言うと、一発で希望が叶うような職種変更の転職はなかなか難しく、段階を踏むイメージを持っておくと良いということです。徐々に円の重なりを大きくしていく。

まあただ一発で叶う人も中にはいるので、僕の話を疑ってまずは希望の企業を受けてみることもオススメします。

そこで全部落ちちゃったなら、この記事をもう一度読んでみてください。

まとめ

あと最後に1つアドバイスしておくと、職種を変える場合、その分野の本を数冊読んだり、実際にその職に就いてる人から現場の話を聞いておくことをオススメします。職種変えるつもりなのにその職のこと理解してない人ってたくさんいるんですが、そういうの面接ではバレバレなので。当然落とされます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!参考になった方は、↓からTwitterなどでシェアしてもらえると嬉しいです!

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