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就職や転職の際に「ブラック企業には入社したくない」と考えるのは当然のことです。
この記事では、長時間労働やハラスメント、違法な労働条件といった、ブラック企業が持つ多くの特徴を紹介します。
また、入社前にブラック企業を見分ける方法や、入社後にブラック企業と気づいたときの対処法も解説しています。
- 転職を考えているが、ブラック企業を避けたい人
- 新卒や初めての転職で、ブラック企業の実態を詳しく知りたい人
- 現在勤務している会社がブラック企業かどうか確認したい人
- ブラック企業に入社してしまって疲弊している人
ブラック企業とは?
ブラック企業とは、労働環境が劣悪で、従業員の権利を無視している企業を指します。
これらの企業では、不当に長時間の労働を強いられたり、賃金の不払い、パワーハラスメントなどの問題が頻繁に発生しています。
特に若手労働者や就職・転職活動中の人にとって、ブラック企業の特徴を理解しておくことは非常に重要です。
ここでは、厚生労働省が用いている「若者の使い捨てが疑われる企業等」の特徴を基に、ブラック企業の大まかな定義を解説します。
- 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
- 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い
- 労働者に対し過度の選別を行う
〔出典〕厚生労働省:労働条件に関する総合情報サイト,「ブラック企業」ってどんな会社なの?.2023年11月21日閲読.
労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す

ブラック企業では、従業員が健康やプライベートの時間を犠牲にしてまで仕事を続けることが求められます。
このような状況が続くことで、従業員が心身の健康を保てなくなるケースが少なくありません。
賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い

ブラック企業では、労働基準法などの法律に違反する行為が横行し、企業全体のコンプライアンス意識が欠如しています。
従業員の権利が尊重されていない環境は、仕事の質や生産性の低下をもたらす可能性があります。
労働者に対し過度の選別を行う

ブラック企業では、過剰な競争を強いることや、過度、かつ、偏った評価基準による人事査定が行われています。
このような環境は、従業員間の不信感を生み、職場の雰囲気を悪化させる原因となります。
次の章では、ブラック企業の特徴を具体的に紹介していきます。
ブラック企業によくある10の特徴
ブラック企業では、従業員の権利が軽視され、過酷な労働条件が強いられています。
ここでは、従業員に対する不当な扱いや、労働基準法などの法律を無視した行為など、ブラック企業によくある10の特徴を紹介します。
- 36協定を超えた残業が発生している
- サービス残業が常態化している
- 有給休暇が取得できない・付与されない
- 休憩時間がない
- 給与が最低賃金を下回っている
- 厳しいノルマが課されている
- ハラスメントが横行している
- 離職率が異常に高い
- 雇用契約書・就業規則が存在しない
- 最終的には精神論が語られる
36協定を超えた残業が発生している

36(サブロク)協定とは、労働基準法第36条に基づく協定です。
企業は、従業員の代表と36協定を締結することで、臨時的な特別の事情があるある場合は労働基準法に定められた1カ月45時間・1年360時間までという上限を超えて従業員に残業をさせることができるようになります。
※特別な事情がある場合や、公務員、公立教員、管理職は、この限りではありません。
現在の法律では、特別条項付き36協定を締結することで、以下のような例外的残業が認められています。
- 年720時間以内以内
- 2カ月~6カ月の各平均が80時間以内
- 月100時間未満
の範囲内で、臨時的な特別の以上があれば月45時間の上限を超えて残業させることができる(時間はすべて残業時間を指し、休日労働を含む)。
ただし、月45時間の残業時間を超えることが認められるのは、年間6カ月まで。
しかし、ブラック企業では、これを超えた残業が発生していることがあります。
これは、従業員が違法に働かされる状況を指し、労働者の健康や生活の質を著しく低下させる原因となります。
過剰な残業は、過労死やメンタルヘルスの問題を引き起こすリスクもあり、労働者の権利を守るために重要な問題です。
サービス残業が常態化している

賃金の支払いには「ノーワークノーペイ(労働なければ賃金なし)」という大原則があり、裏を返して、労働・役務提供があるところには必ず賃金や報酬が発生しなくてはならないということになっています。
サービス残業は、従業員の労働に対する正当な報酬を否定するもので、当然、労働基準法に反します。
従業員のモチベーションの低下や仕事に対する満足度を減少させ、結果として企業の生産性にも悪影響を及ぼします。
この問題は、従業員が適正な報酬を受け取ることを妨げるだけでなく、労働市場全体の公正さを損なう問題でもあります。
有給休暇が取得できない・付与されない

そもそも、会社(雇用主)の側に有給休暇の取得を拒否する権利はありません。
唯一認められているのは「時季変更権」というもので、これは、従業員が希望した時季に休暇を取得させると会社・事業が立ち行かなくなってしまうときのみに限り、会社が有給休暇の取得日を変更することができるというものです。
「人手が足りない」だけでは理由として不十分で、代替要員確保に関して具体的なアクションをしてなおその人に休まれると事業運営に支障が出るようなケースでなければ、時季変更権は使えません。
つまるところ、会社(雇用主)は有給休暇の取得を拒むことはできないうえに、よっぽどの困難でもない限りは休暇取得日を変えることすらできないのが本来なのです。
有給休暇は従業員がリフレッシュするための重要な権利であり、これを拒否することは従業員の健康と幸福に悪影響を及ぼします。
休暇の取得ができない環境は、ストレスや疲労の蓄積を引き起こし、長期的には職場の生産性を低下させる原因になります。
このような状況は、個々の従業員のモチベーションを削ぎ、いずれは職場全体の士気まで低下させます。
休憩時間がない

労働基準法第34条には、労働時間が6時間を超え、8時間以下の場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を与えなければならないと定められています。
休憩とは労働から完全に解放された自由時間でなくてはならず、休憩中の電話番を命じることすら認められません。
しかし、これを無視している企業は少なくありません。
休憩時間の不足は、従業員の集中力の低下や労働中のミスの増加、健康問題を引き起こすリスクがあるため、適切な休憩時間の確保が不可欠です。
給与が最低賃金を下回っている

そもそも、最低賃金というものは「最低賃金法」という法律によって定められています。
そして、その法律に基づいて、厚生労働大臣および各都道府県労働局長が地域ごとに具体的な金額を決定しています。
つまり最低賃金以上の賃金を支払うことは、法律上の使用者(会社・雇い主)に課された義務です(最低賃金法第4条)。
加えて、労働契約のなかで最低賃金に満たない賃金を設定した箇所は無効となり、自動的に最低賃金が適用されるものとして扱われます(最低賃金法第4条2項)。

そして労働者の最低賃金は毎年見直されており、基本的には少しずつ上昇しています。
しかし、それが従業員の給与に反映されていなかったり、そもそもが無視されているケースも散見されます。
これは明確に法律違反であり、従業員の生計を圧迫する深刻な問題です。
適切な生活を営むための最低限の賃金が保証されていない場合、従業員の生活の質が著しく損なわれ、従業員のモチベーションの低下や職場離れを引き起こす原因にもなります。
厳しいノルマが課されている

これらの厳しいノルマは従業員に過度なストレスを与え、健康を害することがあります。
また、達成が困難なノルマは従業員のモチベーションを下げ、職場の雰囲気を悪化させる原因にもなります。
さらには、従業員の創造性やイノベーションの発展を抑制することに繋がり、キャリア成長にもマイナスの影響を与えるでしょう。
ハラスメントが横行している

パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、モラルハラスメントなど、企業の中では、あらゆるハラスメントが発生する可能性があります。
ハラスメントは、従業員のメンタルヘルスに深刻な影響を与え、職場離れや生産性の低下を引き起こす原因となります。
また、企業としての評判が損なわれ、優秀な人材の確保が難しくなる可能性もあります。
離職率が異常に高い

高い離職率は、労働環境が悪く、従業員が他の職を探すことが多いことを示しています。
従業員の入れ替わりが激しい状況は、企業の人材育成やチームワークの構築において大きな障害となり、企業の成長と発展を妨げます。
このような状況は、企業にとっても新しい従業員を定期的に採用し訓練するコストが増加することを意味し、結果として企業の財務状況にも悪影響を及ぼす可能性があります。
雇用契約書・就業規則が存在しない

従業員との間に雇用契約書を締結することや、事業所に就業規則を備え付けることは、労働基準法に定めれらた使用者(企業)の義務です。
これらは労働者の権利を保護するための基本的な文書であり、これらが存在しない場合、従業員が適切な労働条件や保護を受けられない状況を生み出します。
また、労働条件に関する不明確である場合、在職中や退職時における労働紛争の原因ともなり得ます。
最終的には精神論が語られる

ブラック企業では、労働条件の改善や合理的な解決策を提供する代わりに、「頑張りが足りないだけ」「我慢するしかない」といった精神論が強調されることがあります。
精神論に依存する企業文化は、従業員が直面する実際の問題を見過ごし、解決を先送りしているに過ぎません。
このような状況は、従業員が自己の能力を十分に活かすことを妨げ、士気低下や生産性の減少を招くでしょう。
入社前にブラック企業を見分ける方法
就職や転職を成功させるためには、ブラック企業を見分ける能力も必要です。
ここでは、入社前にブラック企業を見分ける方法を紹介します。
- 求人情報で見分ける
- 企業研究で見分ける
- 面接(面接会場)で見分ける
求人情報で見分ける

求人広告には、企業の労働条件や企業文化に関する重要な手がかりが含まれています。
例えば、非現実的に高い報酬を提示している場合や、労働条件が不明瞭である場合は要注意です。
また、同じような求人が頻繁に掲載されている場合にも注意が必要でしょう。
過度なノルマなどにより、離職率が高い企業である可能性があります。
これらの特徴は、従業員の福利厚生よりも企業の利益を優先している可能性を示しているため、応募前に詳細な情報収集と分析を行うことが重要です。
企業研究で見分ける

企業の公式ウェブサイト、SNS、口コミサイト、ニュース記事など様々な情報源を活用し、企業の評判や過去の労働問題、経営状況などを調査しましょう。
特に、現従業員や元従業員から投稿されている口コミや評価は貴重な情報源となり得ます。
企業の歴史や文化、ビジョン、業績などを総合的に理解することで、その企業が従業員をどのように扱っているかの傾向をつかむことができます。
企業研究を通じて、その企業が自分の価値観やキャリア目標に合致しているかを検討することが重要です。
面接(面接会場)で見分ける

面接時の企業の態度や面接の進行方法、質問内容などから、企業の実態を探ることができます。
例えば、不適切な質問をされたり、面接官が威圧的な態度をとる場合、その企業の労働環境に問題がある可能性が高いです。
また、面接会場の雰囲気や従業員の様子も参考になります。
会場(会社)が活気に満ちているか、従業員がストレスを感じているように見えないかなど、観察することで企業の労働環境の実態を推測することができます。
面接は、自分自身をアピールするだけでなく、企業を評価する機会でもあります。
積極的に質問をし、自分が働く可能性のある環境について適正な判断を下す必要があるでしょう。
入社後にブラック企業と気づいたときの対処法
入社後に勤め先がブラック企業であることに気づいた場合、できるだけ早く対処しなければなりません。
ここでは、入社後にブラック企業と気づいたときの対処法を紹介します。
- 労働環境を改善したい場合の対処法
- 退職・転職したい場合の対処法
- 未払い残業代や損害賠償を請求したい場合の対処法
労働環境を改善したい場合の対処法

具体的には、問題点を明確にし、上司や人事部に対して改善のための提案を行うことを指します。
また、同僚と協力して問題提起することも、状況改善に繋がる可能性があります。
しかし、内部での解決が難しい場合は、社内の労働組合や、労働基準監督署への相談・申告も検討してください。
違法な労働環境には、法的な対処が必要な場合が多くあり、また、ブラック企業には従業員の言葉に耳を課さない経営者が多いのも事実だからです。
退職・転職したい場合の対処法

まず、退職を引き止められる可能性を考慮しておかなければなりません。
退職時にもめることを想定するなら、ブラック企業である証拠を収集し、いざという時に法的に対処できる準備を整えておきましょう。
その上で、転職エージェントに登録するなどして、転職活動を開始します。
ブラック企業に入社してしまった経験を活かし、同じような労働条件や労働環境の求人を避けることで、後悔のない転職を実現できるでしょう。
未払い残業代や損害賠償を請求したい場合の対処法

未払い残業代にしても損害賠償にしても、何かを請求する際には、立証責任は請求者側にあります。
タイムカードのコピー、出退勤時刻の手書きメモ、残業時間中のメール履歴など、とにかく多くの証拠を集めましょう。
その後、内容証明郵便を利用して、企業に対して請求を行います。
企業からの反応がない、または不当な対応がされる場合は、労働基準監督署や弁護士に依頼して法的措置を検討します。
但し、必要な証拠や請求書面の書き方が分からない場合、最初から専門家に相談することをおすすめします。
また、同様の問題に直面している同僚がいれば、協力し集団での請求を検討することも有効です。
ブラック企業についてよくある質問
ここでは、ブラック企業に関するよくある質問とその回答を紹介します。
ブラック企業とはどんな企業ですか?
ブラック企業とは、従業員の権利を著しく無視し、劣悪な労働条件を強いる企業のことを指します。
典型的な特徴としては、過剰な長時間労働、残業代などの賃金未払い、ハラスメント、有給休暇の未付与などが挙げられます。
これらの企業は従業員の健康を軽視しているため、従業員は精神的・身体的な問題を引き起こすことがあります。
ホワイト企業とブラック企業の違いは?
ホワイト企業とブラック企業の主な違いは、従業員への扱いと労働環境の質にあります。
ホワイト企業では、従業員の権利が尊重され、バランスの取れた労働条件、適切な労働時間、健康と福利に配慮した職場環境が提供されます。
対照的に、ブラック企業ではこれらが著しく欠けており、従業員が不当な扱いを受けることが特徴です。
ブラック企業の見分け方は?
ブラック企業を見分け方には、求人情報の詳細なチェック、企業の評判や口コミの調査、面接時の職場環境の観察などがあります。
高額な報酬、不明瞭な職務内容、著しく低い評判、面接時の不適切な対応などがある場合、ブラック企業の可能性が高いと考えられます。
この記事のまとめ
この記事では、ブラック企業の特徴、入社前の見分け方、入社後の対処法まで解説してきました。
ブラック企業の特徴としては、長時間労働、残業代の未払い、パワーハラスメントなどが挙げられ、これらが従業員の健康やキャリアに悪影響を与えます。
また、ブラック企業の見分け方としては、求人情報、企業研究、面接を通じて、他の求人や企業に比較して異常な点がないかをチェックするとよいでしょう。
万が一、入社後にブラック企業と気づいた際の対処では、労働環境の改善、退職や転職、未払い残業代の請求など、目的に応じたアクションが求められます。
この記事が、ブラック企業に悩まされるの一助になれば幸いです。